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積み重ねてきた、努力の結晶

2017/12/05

中板清乃

中板清乃(Kiyono Nakaita)
東京都墨田区立緑小学校六年生

第40回全国JOCジュニアオリンピックカップ 夏季水泳競技大会
シンクロ競技 10-12才 ソロ優勝 最優秀選手
2017年度ユースエリート選手

シンクロとの出会い

 シンクロナイズドスイミングに出会ったのは、同じスイミングのお姉さんがシンクロをやっていて、ちょうど体験レッスンがあると知ったことがきっかけだった。二歳からスイミングに通い、潜ることが大好きだったので、“楽しそう”という軽い気持ちで参加した。しかしそこにはテレビでしか見たことのなかった「シンクロ」の世界があった。踊ることも好きで、習い事ではチアリーディングもしていた。まさに吸い寄せられるかのように、水の中で自分を表現するシンクロの世界に一気に興味がわいた。
 最初は楽しさが勝り遊び感覚で関わっていたけれど、全国を目指すという目標があるということを知った頃から、次第に競うという意味合いが大きくなる。練習メニューがきつくなり、中途半端な気持ちではついていけず、慣れていない練習に戸惑う日々。思うようにいかず、毎日のように泣いた時期もあった。しかし厳しい練習に耐え、ジュニアオリンピックのメンバーに上級生に混じり、下級生でただ一人選ばれることになったことが、喜びと自信につながっていく。

 練習は週に5回、それでも練習時間は全然足りない。プールへ移動する電車の中では駅と駅の間を「息止めタイム」に決めて、自主練習。目標は水中で3分息を止めることだ。
 正直なことを言うと、「シンクロをしている中で楽しさを感じるのはほんの3割。あとの7割はつらいことばかり」と笑いながら話す。でも自分で始めて、自分でがんばっていこうと決めたことだから弱音は吐かないようにと決めている。練習場所も様々、片道約50分かかる電車移動も小学2年生の時から一人で行くと決めた。

夢の舞台

 今年8月に行われたジュニアオリンピックは大きな目標にしてきた大会で、小学生最後の年で迎える今回は、もちろん優勝、最優秀賞が目標だった。しかし毎回行う腹筋を鍛える準備体操でお腹にうまく力が入らず、予選は不安の中演技に臨む。悪い予感は的中し、滑り出しは最悪だった。でも自分で原因はつかめていたため、「あとはそこを改善すればいいんだ」と、培ってきた経験から自分を鼓舞した。また、フィギュア競技(※音楽を使わず規定の技術のみを競うもので、午前中に行われた競技)の成績が一位だったのを知ったことも発奮剤となり、予選の状況とは一転、勝利への手ごたえさえ感じていた。決勝は8人中8番目のクジを引き、運も味方に。自分の順番まで他人の演技は一切見ない。自分のことにだけ集中し続けた。
 結果は見事ソロ部門で優勝。まさに有言実行で最優秀賞にも選ばれた。すぐには実感が湧かなかったが、多くの人からの祝福を受けて、次第に喜びがふくらんだ。

仲間の存在

 いつでも「仲間」であり「ライバル」でもある友達の存在は大きかった。シンクロでは試合後には毎回、結果が壁に一斉に貼りだされるが、確認するのは同じチームメイトや他チームのライバルの順位で、自分の名前を探すのはそのあと。誰かに負けると、“もっと頑張れたんじゃないか“と何度も自問自答を繰り返してきた。特に同じ学年にだけには負けたくないという強い気持ちが向上心につながっていたのは間違いない。
 最上級生になった今年は「リーダー」という役割も任せられた。これまでの経験値からの抜てきだったが、本人いわく「人をまとめるのは苦手」。競技以外にもコーチから期待や指摘をされることが多くなり、より仲間を支える立場であることも認識させられた。

積み重ねてきた、いま

 将来の夢はオリンピックに出場して、表彰台にあがること。だがシンクロ以外にも興味は尽きない。「じっくり考えてみたら将来の夢が5つもあった。」と素顔はふつうの女の子。ただ優勝したことで、夢の一つであるシンクロへの想いは一層強くなった。
 来年は中学生になるが「練習への不安と楽しみは半々」と口にする。シンクロ中心の毎日を送ってきた中で、練習の積み重ねが本当に大切なことは、誰よりも分かっている。それは優勝後にもらった先生からの手紙にもあった。

「練習は嘘をつきません。コツコツと努力を積み上げてきた賜物です。」

 

文/水とうきうき編集部